海の幸の宝庫、日本。
四季折々の豊かな海の幸が楽しめるこの国では、とくにカニが高い人気を誇ります。
その中でも、日本四大カニはグルメな皆さんならずともその名を一度は耳にしたことがあるでしょう。
タラバガニ、ズワイガニ、毛ガニ、そして花咲ガニ。
それぞれ異なる魅力を持つこれらのカニは、選び方一つでその美味しさが格段に変わります。
この記事では、カニマニア必見の日本四大カニの種類と選び方を、詳しく解説していきましょう。
カニの種類は二つの大きなグループに分かれます
カニには、「カニ類」と「ヤドカリ類」という2つの大きなグループがあります。
世界には約5,000種のカニが存在し、これらはすべて十脚類という広範なグループに属しています。
カニは、その尾の長さによって「カニ類」と「ヤドカリ類」に分けられることが一般的です。
日本の海では以下のような代表的なカニが捕れます。
カニ類 | ヤドカリ類 |
---|---|
ズワイガニ 紅ズワイガニ 毛ガニ 高足ガニ ワタリガニ クリガニ など | タラバガニ 花咲ガニ アブラガニ イバラガニ など |
日本の海にはおよそ1,000種のカニが生息しており、市場に出回るカニ類もヤドカリ類も同様にカニとして扱われています。
日本を彩る絶品グルメ、四大カニの世界
カニは日本のグルメシーンを飾る主役の一つですが、とくに以下の4種類は「日本の四大カニ」として名高く、その味わいと品質には定評があります。
- タラバガニ
- ズワイガニ
- 毛ガニ
- 花咲ガニ
これらは漁獲量も多く、カニを愛する人々にとっては欠かせない存在です。それぞれのカニの個性に迫ってみましょう。
タラバガニ|甘さとぷりぷりの食感が自慢の高級カニ

タラバガニは、その甘さと弾力ある食感で知られる高級カニです。
見た目は迫力があり、全身にトゲのある力強い外観が特徴です。
旬は11月から3月にかけてで、この時期は北海道やオホーツク海でよく獲れます。
肉厚でジューシーな身はタラバガニの魅力の一つ。蒸しや焼きで調理して、その豊かな風味を堪能するのがおすすめです。
タラバガニの種類
タラバガニは、ヤドカリの一種で、タラバガニ科に属する甲殻類です。
普通のカニが8本の足と2本のハサミを持つのに対して、タラバガニは6本の足しか見えません。
これは、最も下の段の足が退化してしまっているためです。
しかし、その分身の中はぎっしりと肉が詰まっており、これが大きな魅力となっています。
日本国内では、主に北海道の海域で捕獲されるため、市場に出回るタラバガニはほとんどが北海道産です。
新鮮でずっしりと重い北海道産のタラバガニは、カニ好きにはたまらない逸品です。
タラバガニの旬とその特徴
タラバガニには年に2回、旬があります。
4月から5月にかけては、若くて甘みがあり、11月から翌年の2月にかけては、脱皮を重ねて成熟した味わい深いカニが市場に出ます。
カニ愛好家なら、年間を通じてタラバガニの味を比べてみるのも一興です。
タラバガニは、オスがメスよりも一回り大きく、脱皮を繰り返しているため味も濃厚です。
値段は高めですが、極上のタラバガニを堪能したいなら、オスを選ぶことをオススメします。
ただし、カニ味噌を楽しみにしている方にはご注意が必要です。
タラバガニは他のカニに比べてカニ味噌がダメージを受けやすいため、市場に出回っているものの多くからはカニ味噌が取り除かれています。
タラバガニとカニ味噌の両方を楽しむなら、カニ味噌は別で手に入れることをオススメします。
タラバガニの相場
タラバガニの相場は、1kgあたり4,000円から10,000円と幅があります。
前述の通り、カニ味噌が取り除かれており、甲羅の重さも考慮されているため、足の部分だけが売られていることが多くなっています。
美味しい蟹の見極め方:タラバガニは脚と甲羅の突起で選ぶ
タラバガニを選ぶ際は、脚や甲羅の突起があまりにも綺麗すぎると、身が詰まっていない可能性があります。
脚を押して柔らかさを確かめ、身がしっかりと詰まっているかをチェックしましょう。
ボイル蟹の場合も、同じ方法で身の詰まり具合を見極めます。
色鮮やかなボイル蟹は新しく脱皮した蟹かもしれないので、注意が必要です。
カットされた脚は、身がしっかりと詰まっているものを選び、割れや隙間があるものは避けると良いでしょう。
タラバガニおすすめの食べ方
脚の身を焼いて食べる焼きガニです。
タラバガニ特有のプリッとした食感と濃厚な味わいが楽しめます。
また、タラバガニの味噌は絶品で、カニ味噌としても多くの人に愛されています。
ズワイガニ|味もボリュームも満点、カニの王様

日本で幅広く愛されるズワイガニは、そのサイズと満足感で人気を博しています。
見た目は洗練されており、甲は比較的コンパクトで、脚は長くしなやかです。
11月から3月は旬の季節で、北海道から東北、信越、北陸地方で豊富に獲れます。
オスのズワイガニは身がぎっしりと詰まっており、独特の風味と深い味わいが楽しめます。
甘く柔らかなその味は、特にカニ鍋に最適です。
ズワイガニの種類
ズワイガニはケガニと共通してクモガニ科に分類される甲殻類であります。
オスのズワイガニは、メスに比べてその甲羅が約2倍の大きさであり、その長く細い脚はまるで細い枝のようにしなやかです。
この特徴的な脚の形状が「楚」と呼ばれる細い枝に似ていることから、「楚蟹」という名前がズワイガニの由来となりました。
ズワイガニの旬とその特徴
ズワイガニは太平洋沿岸で捕獲され、その産地によって様々な名前で呼ばれています。
北陸地方では「越前ガニ」、山陰地方では「松葉ガニ」という名で親しまれています。
さらに、メスのズワイガニは、それぞれの漁港ごとに「セイコガニ」や「コウバコガニ」といったブランド名で市場に出されています。
これらは全てズワイガニの別称であり、産地による微妙な味の違いはあるものの、基本的には同じ種類のカニです。
ズワイガニの旬は地域により異なります。
例えば、北海道で獲れるズワイガニは4月から5月にかけてが旬で、その柔らかい身と豊かな風味が特徴です。
一方、日本海側で捕獲されるズワイガニは、12月から翌年3月が最も美味しいとされています。
ズワイガニの相場
ズワイガニの市場価格は1kgあたり2,000円から10,000円と大きな幅があります。
これは、地域によってズワイガニがブランド化されているため、産地ごとに価格差が生じているからです。
ブランド化されていない北海道産のズワイガニは、一般的に1kgあたり約5,000円で取引されていることが多いです。
美味しい蟹の見極め方:ズワイガニの選び方は甲羅の色で決まる
ズワイガニを選ぶ際は、甲羅の色がポイントです。
明るい赤色は新しく脱皮した蟹の証拠で、深い赤色の甲羅を持つ蟹が理想的です。
甲羅が茶色いものは水分が多く含まれており、蟹味噌が水っぽくなることがあるので避けましょう。
以前は甲羅の「ブツブツ」が少ない蟹が好まれましたが、最近の洗浄技術の進歩により、これを選び方の基準にする必要はなくなりました。
ズワイガニおすすめの食べ方
やはり茹でてそのまま味わうのが一番。
甘みと旨味が口の中に広がります。
他にも、カニしゃぶやカニすきなど、ズワイガニの柔らかな身を存分に楽しむ料理法も多数存在します。
毛ガニ|濃厚なカニ味噌が魅力の一品

独特な甘さと濃厚な味噌が特徴の毛ガニは、日本でも特に人気の高いカニです。
見た目はユニークで、甲羅や脚に細かな毛がびっしりと生えています。
丸みを帯びたフォルムで、ずっしりとした重みがあります。
北海道や岩手県で主に獲れ、一年中市場で見かけることができます。
柔らかな身と濃厚なカニ味噌は、どんな料理にも合う万能プレーヤーです。
鍋やボイルでいただくのが一番の楽しみ方と言えるでしょう。
毛ガニの種類
体表に細かな毛が密生する毛ガニは、クリガニ科に属しています。
地域によっては「オオクリガニ」とも称されます。
その特有の毛の生え方が、他のカニとは一味違う外見を作り出しています。
この毛ガニは主にオホーツク海や太平洋沿岸で捕まえられますが、特に北海道の枝幸町での漁獲量が日本国内で最も多いです。
北海道では地域によって漁のシーズンが異なり、枝幸町近辺では3月から6月が最も良い時期です。
毛ガニの旬とその特徴
毛ガニは一年中楽しむことができますが、旬は産地によって異なります。
小さめで肉質は少ないですが、その分、味わいが濃く、深いです。
特に毛ガニのカニ味噌は他と比べても味わい深く、風味が豊かです。
毛ガニを選ぶときには、甲羅の大きさや脚の長さに関わらず、カニ味噌の量はほとんど変わらないという点を覚えておくと良いでしょう。
もしあなたがカニ味噌を主に楽しみたいなら、小さめの毛ガニでも大満足できます。
そのため、コスパを重視するならば、小型の毛ガニを選ぶことをオススメします。
甲羅の黒い斑点はカニビルと呼ばれ、成熟した毛ガニ特有のものです。
これらの斑点が多い毛ガニほど、風味や身の質が良いとされています。
毛ガニの相場
市場での毛ガニの平均価格は、1kgあたり4,000円から10,000円の間です。
もし肉質をしっかり楽しみたいなら、大きめの毛ガニを選ぶと良いでしょう。
しかし、カニ味噌重視であれば、小型の毛ガニでも充分満足感を得ることができます。
美味しい蟹の見極め方:毛ガニは重さで選ぶ
毛ガニを選ぶ際は、見た目の大きさよりも重さを重視します。
見た目が大きい毛ガニでも、中身が空洞で身が少ないことが多いので注意が必要です。
甲羅の毛穴のような部分が黒くなっている毛ガニは老ガニと呼ばれ、味噌が少ないため避けた方が良いでしょう。
甲羅が赤みを帯びて白い毛ガニが一般的に良いとされています。
毛ガニのおすすめの食べ方
茹でてそのまま味わうのが一番。
とくに味噌を含む甲羅部分は、そのままスプーンですくって味わうと格別です。
また、毛ガニの身はサラダや寿司ネタにしても美味しくいただけます。
花咲ガニ|繊細な味わいが魅力の希少種

花咲ガニは、その繊細な風味と甘みが特徴の希少なカニです。
名前のとおり、調理すると花のような鮮やかな赤色に変わります。
見た目は短い脚と大きな突起が目を引く、がっしりとした印象です。
主に北海道で獲れる花咲ガニは、7月から9月が旬です。
タラバガニ科に属しつつも、より繊細で甘みのある味わいが特徴です。
とくに、稚内や根室沖など限られた地域でのみ水揚げされるため、「幻のカニ」とも称されます。
花咲ガニの種類
タラバガニ科に分類される花咲ガニは、ヤドカリの一種です。
その体は太く短い棘に覆われており、非常に特徴的な外見をしています。
漁獲地域が非常に限定されており、また漁獲量も少ないため、花咲ガニは「幻のカニ」とも呼ばれています。
その珍しさと味の良さから、多くの人々に愛されています。
茹でるとカニ全体が鮮やかな赤色に染まり、まるで花が開いたように見えることからこの名が付けられました。
花咲ガニの旬とその特徴
花咲ガニを食す際の最大の魅力は、その独特な香りと甘みにあります。
カニ味噌や外子の味わいは特に絶賛されており、これが花咲ガニの人気を支えている理由です。
最もおいしいとされるのは7月から9月の期間ですが、この季節になると北海道へ花咲ガニを目当てに訪れる人が急増します。
旬の時期であっても簡単には手に入らず、メスは外子があるため、オスよりも高価で取引される傾向にあります。
花咲ガニの相場
市場での花咲ガニの価格帯は、1kgあたり約6,000円から8,000円で推移しています。
一匹の重さは0.7kgから1.5kgまでと幅広く、メスの方がより高い価格がつけられるのが通例です。
美味しい蟹の見極め方:花咲ガニは小さくて重いものを選ぶ
花咲ガニを選ぶ際は、小さくて重いものがおすすめです。
小さくても重量感がある蟹は、身がぎっしりと詰まっており、蟹の風味が濃厚です。
メスの蟹は卵を持っていることが多く、見た目よりも重さを感じることが特徴です。
花咲ガニを選ぶ際には、大きさだけでなく実際に持ち上げて重さを確認しましょう。
加えて、甲羅の硬さや鮮度もチェックすると、失敗が少なくなります。
花咲ガニおすすめの食べ方
茹でてそのまま食べるのが一般的ですが、刺身や寿司ネタとしても絶品です。
透き通るような身の甘みと独特の食感をお楽しみください。
日本が誇るブランド蟹のバリエーション
日本の美食界において特筆すべき存在として蟹は広く知られています。
中でも、特定の品質基準を満たした蟹は「ブランド蟹」としての称号を得ています。
これらの基準は、蟹の産地や漁港ごとに設けられており、蟹のサイズや身の締まり具合などが厳しく定められています。
ブランド蟹の代表格として挙げられるのはズワイガニです。
市場に出回る際には、脚部にそのブランドを示すタグが付けられています。
また、ブランド蟹は産地によって異なる名前で呼ばれ、下記のような種類があります。
松葉ガニ
山陰地方に広がる京都から鳥取にかけての漁港で獲れるズワイガニの中でも、松葉ガニは特に評価が高く、ブランド化されています。
間人や香住、境港など、その産地によって様々な名前で呼ばれるこのカニは、品質の高さが自慢です。
北太平洋やオホーツク海にも生息するズワイガニですが、それぞれの漁港ごとに設けられた厳しい品質基準をクリアしたものだけが市場に出されます。
越前ガニ
福井県が誇るズワイガニ、越前ガニは、安土桃山時代から高級食材として珍重されてきました。
越前地方で獲れるズワイガニの中でも特に品質が高いものだけが越前ガニと呼ばれています。
この名誉ある称号は、福井県内の特定の港、特に三国港で水揚げされたカニにのみ与えられます。
県外で獲れたカニとは異なり、黄色いタグで一目で区別できるのが特徴です。
加能ガニ
石川県の加賀や能登地方で獲れるズワイガニは、加能ガニと呼ばれています。
長い間この地域の特産品として親しまれてきましたが、2006年に地元の漁港が一致団結してこの名前が正式に付けられました。
加能ガニに選ばれるのは、9cm以上の雄のズワイガニの中でも特に品質が高いものです。
北海松葉ガニ
北海道で獲れるズワイガニは、北海松葉ガニと称されています。
この名前には、オオズワイガニやベニズワイガニも含まれることがあります。
これらのカニは比較的手頃な価格で市場に出回り、北海道ならではの美味を楽しむことができます。
セイコガニ
全国的に漁獲されるオスのズワイガニとは別に、メスのズワイガニはセイコガニと称されます。
その魅力は、カニの身だけでなく、内子や外子といった卵も味わえる点です。
メスならではのこの豊かな味わいは、寒さが増すにつれてさらに深まります。
獲れる時期が限られているため、セイコガニは貴重な味覚とされています。
まとめ
日本四大カニ、それぞれに独特の魅力と特色があります。
ズワイガニの柔らかさ、タラバガニのボリューム、毛ガニの濃厚な味噌、花咲ガニの繊細な甘み。
これらのカニは、それぞれ異なる産地や季節に最も美味しくなるため、年間を通してカニの味覚を楽しむことができます。
このブログを参考にして、それぞれのカニの特徴を理解し、自分好みのカニを見極めてみてください。
カニを選ぶ際には、活きの良さや身の詰まり具合をチェックすることが極めて重要です。
また、購入時には、産地や漁獲日などの情報をチェックし、できるだけ新鮮なものを選ぶようにしましょう。
持ち帰りの際には、クーラーボックスや保冷剤を用意して、鮮度を保つことが大切です。
保存方法としては、できるだけ早く食べるのが理想ですが、必要に応じて冷蔵庫での適切な管理を心がけましょう。
最後に、カニを食べる際の楽しみ方は人それぞれです。
シンプルに茹でて味わうも良し、カニしゃぶやカニすきなどの鍋料理で楽しむも良し、寿司ネタやサラダにするも良し。
自分なりの食べ方を見つけ、カニの持つ多彩な魅力を存分に堪能してください。